特集記事一覧へ戻る

AIへの取り組み Vol.1

AIでクルマの画面はもっと人に寄り添える

2026年8月23日ハヤシUX/UIデザイナー
生成AIHMIデザインシステム
AIでクルマの画面はもっと人に寄り添える

こんにちは。ミックウェアでUX/UIデザインを担当しているハヤシです。

普段はナビやメーターなど、ドライバーとクルマをつなぐ「車載HMI」の企画やUIデザイン、デザインシステムの設計などに携わっています。

仕事柄、「これからクルマのUIはどう変わっていくんだろう?」と考えることが多いのですが、最近その話をするときに欠かせなくなってきたのがAIです。

最近、仕事でもプライベートでもAIを使う機会が本当に増えました。気がつけば、「今日はまだAIを使っていないな」という日のほうが珍しいくらいです。

エンジニアからは、「AIを使った実装」や「コーディングの自動化」といった話がよく聞こえてきます。そして、それはUIデザイナーも同じです。

WEBデザインでは、もともとデザイナー自身がコーディングに関わるケースも多いため、AIを使ってデザインから実装まで進めるスタイルもかなり広がってきています。

では、車載HMIではどうでしょうか。

HMIの世界でも、AIがデザインと実装の間をつなぐことで、これまで分かれていた「デザイン」と「フロントエンド開発」の境界は、少しずつ薄くなっていくように感じています。

AIの話をしていると、どうしても「どれだけ効率化できるか」「どこまで自動化できるか」という話が中心になりがちです。もちろん、それも大きなメリットです。

ただ、UIデザイナーとしては、その先にある
「AIによってユーザー体験そのものがどう変わるのか?」
も気になります。

今回は、
「AIを使うことで、HMIそのものはどう変わっていくのか?」
をテーマに考えてみたいと思います。

車載HMIに関わる方はもちろん、「AIでこれからUIってどう変わるんだろう?」と気になっている方にも、一緒に想像しながら読んでもらえたらと思います。

HMIは、みんな同じでいい?

例えば、初めてその車に乗る人と、毎日同じ車に乗っている人。本当に同じ情報量、同じガイダンスが必要でしょうか。

慣れているユーザーであれば、いつも使う機能へすぐアクセスできたほうが便利です。一方で、初めて使う機能であれば、少し丁寧な説明があったほうが安心できます。

運転する時間帯や天候、走っている場所、車両の状態によっても、必要な情報は変わります。人や状況によって、使いやすいHMIの形は少しずつ違うはずです。

もし、その違いをHMI側が理解してくれたらどうでしょう。そこでポイントになるのが、AIとデザインシステムの組み合わせです。

AIが自由に画面をつくる……わけではありません

デザインシステムというと、カラーやフォント、アイコン、レイアウト、モーションなどのルールを整理し、UIの品質や一貫性を保つための仕組みというイメージが強いと思います。もちろん、それはとても大切な役割です。

ただ、AIと組み合わせて考えてみると、デザインシステムは「UIを揃えるための仕組み」だけではなく、UIを安全に変化させるための仕組みにもできるのではないでしょうか。

例えば、AIがユーザーの利用傾向や車両の状態、走行シーンなどを理解し、その結果に合わせてデザインシステムの中から適切な表現を選びます。流れとしては、とてもシンプルです。

User / Context → AI → Design System → HMI

ここで大切なのは、AIがその都度自由に画面をつくるわけではない、ということです。あらかじめデザイナーが設計したルールの中から、今のユーザーや状況に合ったUIを選んでいく。そんなイメージです。

これなら、ブランドとしての世界観やUIの一貫性を保ちながら、ユーザーに合わせて柔軟に変化させることができます。少し具体的に考えてみます。

  • お年寄りや運転に不慣れな人には、大きな文字やボタンでわかりやすく表示する
  • 小さな子どもが同乗している場合には、安全に関わる機能を優先的に表示する
  • EVで充電残量を気にしているときには、エネルギー情報をいつもより目立たせる

もちろん、すべてをAI任せにするという話ではありません。どこまで変化させてよいのか。どの情報は必ず同じ場所にあるべきなのか。安全性やブランドとして守るべきルールは何か。そういった部分をデザインシステムとしてしっかり定義しておくことが、これまで以上に重要になります。

HMIが、人に合わせて変わっていく

私はこのように、ユーザーや状況を理解しながら、必要な情報や表現を柔軟に変化させるHMIを「Adaptive HMI」として考えています。

これまでのHMIは、デザイナーがあらかじめ用意した画面をユーザーが操作するものが中心でした。これからは、それに加えて、HMI側がユーザーを理解し、少しずつその人に合った形へ変わっていく。そんな考え方も増えていくのではないでしょうか。

そして、その中心にあるのはAIだけではありません。

  • ユーザーや状況を理解するAI
  • デザインのルールを定義するデザインシステム
  • それを実際のHMIとして成立させる実装技術

この3つがうまくつながることで、Adaptive HMIが実現できると考えています。

AIで「作り方」が変わり、その先で「HMI」が変わる。

AIによって、デザインや実装の仕事はこれからもどんどん効率化されていくと思います。デザイナーとエンジニアの境界も、今よりさらに曖昧になっていくかもしれません。

ただ、AIによって変わるのは、HMIの「作り方」だけではありません。AIとデザインシステムを組み合わせることで、これまで固定されていたHMIそのものも、ユーザーや利用シーンに合わせて変化できるようになります。

「みんなが同じUIを使うHMI」から、「一人ひとりに寄り添うHMI」へ。そんな未来を想像しながら、これからのHMIデザインを考えていきたいと思います。

AI×HMIデザイン開発サポートについてご興味がある方はこちら

AI導入・活用支援サービスを見る
ハヤシ

ハヤシ

UX/UIデザイナー

エンタメスマホアプリから車載HMIまで、さまざまなプロダクトの企画・デザインを担当。新たな技術やツールに興味を持ち、具体的にどう使えばよいかをフットワーク軽めにお話しします。

特集記事一覧へ戻る